〈モノローグ〉

2/7
前へ
/46ページ
次へ
パンドラの箱を開けると、その中から諸悪が世界に次々と広がって行った。 最後に箱の底に残ったのは、「希望」だけだったと言う。  生まれて来た事を後悔している訳ではない。 この壁の向こう側にあるのは、最後の楽園なのだろうか? それとも荒れ果てた大地がそこには尚も横たわっているのだろうか?  僕らは結局、どういう結果になろうとも、立ちはだかる壁を越えていかなければ成らない。  結局、どういう結果になろうとも。 走り出したマラソンランナーは 42.195キロ先のゴールを願う。   ゴングを聞いたボクサーは 相手をリングに叩きのめす事を願う。 銃口を突きつけられた兵士は 相手より先に引き金を引く事を願う。 流れ星を見た恋人たちは これからも二人だけが幸せである事を願う。  そして、僕には42.195キロ先のゴールも、リングに鳴り響くテンカウントも 戦場で白旗を上げる兵士の姿も、流れ星に永遠を誓う事も無く一体、何が正しい事であって、何処まで行けばこの世界が終わるのか?  僕には分からない?  僕には分からない?  僕には分からない?
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加