〈彼女が今朝、スクランブル・エッグを作り始めた風景〉

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 僕は結局、何を見失ったのだろうか? このくだらない世界で生きていくための大切なモノを無くしたと思うんだけど・・・  それが何なのか?未だに僕には分からないけど、無くした事だけはなんとなくだけど分かるんだ。  僕は何処へ向かってる。走ってる。  走ってる事自体に本当は意味なんて無いのかな?でも、立ち止まる事は出来ないのはなんとなくだけど分かるんだ。  そこに何の意味も無くてもだ!  「人生とはマラソ・・・・・・・・・・」 「君の賢さは十分、分かった。しばらく、黙ってろ!」  「つまりこの世界は全てが共同体としての社会主義になる必要があるんです。そこでは全てが平等で全ての人が豊かに暮らせるのですよ。まさに言うなれば最後の楽園ユートピアです。」  口に出して一言、賢い人に言っとくべきだった。多分、多分、彼は自論を雄弁に言ってる。  「・・・・・・・」まだ喋ってる。 もう分かった。 喋りたいだけ喋れば良い。 誰もお前の話なんか聞いてないけど。  そもそも僕は何で生きてるのだろうか? 勉強もスポーツも出来る訳じゃなかったし、特に目立つ事も無かった。でも僕なりに努力もしたつもり。
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