〈彼女が今朝、スクランブル・エッグを作り始めた風景〉

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 「今の時代は平面的では無くなってしまったのです。つまり誰もが豊かに暮らせる平等な社会の実現には社会主義が最も良いという結論に至る訳です。この事は私の著書「最も民主主義的な社会主義」に詳しく書かれていますので是非、最寄の書店でお買い求め下さい。」 賢い人は結局、どっぷりと商業主義に走っている事を忘れさせるぐらいに熱く自論を語り終える。  ・・・・・そこまでは  それから僕は就職活動に失敗して、何に使われてるのかも分からない基盤の一部の同じ部品をひたすらハンダ付けするバイトをすることになった。  「こんなはずじゃなかった気がする。僕の想像してた僕の未来は・・・」  僕の中で何かがずれる。  ズレてる。  普通な世界には例外は無い。  やっぱり僕は何かを見失しなってる。 少しだけ分かって来たような感じもする。 多分、うまく言えないけどそれは僕の中の最もコアな部類に属するモノである気がする。  向こうには何も無い綺麗な円の穴がただ漫然とポッカリとあいてる。 ・・・・・僕には元から夢なんて無かったのさ・・・・・
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