ジャパンはゴールドコースト…果たして真意は…

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時差にも慣れ、今日からは日本の『high school student』だ。blueberry jamをタップリ塗ったトーストを頬張りながら、mama…いや、お母さんはハムエッグを皿にスッと運んでテーブルの上に置く。『日本はどう?三年間ちゃんと通えそう?』テーブルに肘を突いてお母さんは言う。『ノープロブレムだよお母さん。むしろデトロイトの淀んだ空にいるよりマシだとさえ思うよ』。父は今いないが、ここで三年過ごせば父の仕事も問題無く解決し、戻れる筈だ。熱いコーヒーを飲みながら僕はお母さんの一言に全て日本語で答えた。『ニホンの女性はアメリカより美しさは上だし、男子は奥手なんだろ?僕が充実した毎日を送るには出来過ぎたくらいの環境だね。まぁ、なんとかなるよ、お母さんは毎日ハムエッグを作ってさえくれれば万事OKさ♪』…日本の『高校』とやらはアメリカのソレより充実した日々になる筈だと色々調べて解った。アメリカで僕は女性に不自由した事は無いし、同性からも人望が熱かった。後、必要なのは順応性だろうが、それも今まで通りやれば困る事も無い筈だ。僕はホットコーヒーを飲み干すとカバンを持って早足で靴を履いた。『くれぐれも、必要以上に自分をアピールしない様にね。日本人は個性の強い人間に嫌悪感を感じる可能性が…』 『解ってるよ、マ、…お母さん。没個性こそが日本での人間関係を円滑にする物なんだろ?大丈夫!必ず順応してみせるよ、心配しないで♪』僕はお母さんの額にkissすると反応を見る事無くドアを開けた。…春の美しさ。桜の華麗さ。散リユク花弁。日本のワビサビを感じながら『高校』へと歩きだした。日本ほど暮らしやすい国は無いサ、何もしなくても成績が良ければ良いのだからね。父はアメリカを出る時に笑顔で僕にそう言った。若干悲しそうな顔をしてる様に見えたのは、きっと会社の事を常に頭に置いていた父の上の空の表情だったのだろう。…僕は一本道を20分ゆっくりと歩きながら高校に向かう…。ん?何故かやけに女子高生のスカート丈が短すぎる。早くもこの年でセックスアピールしているのだろうか?いや、日本の女性は『奥手』だった筈。…何か違和感を感じながら、それよりも美しい桜並木を見ながら、僕は高校に向かった…この違和感が、僕の三年間に大きな影響を与えるとは、この時、何も考えはしなかった。
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