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国道○○号線、全車線一杯に広がり走り出したチームK。心地よいコールを奏でる者、おどけて単車の上に立ち上がる者、車や歩道から手を振るギャラリーに応える者、少年達はそれぞれに『今』を楽しんでいた。
『何かおかしい…』
走り出して30分程過ぎた頃に、やっと不自然さに少年達は気付き始めた。
『今日、デカ居なくねぇ?』
一人が口に出した。普段ならば国道に出た頃には4台位のパトカーが追跡を始め、『ケツ持ち』が最後尾で押さえながら走るはず。しかしその夜はまったくのノーマークだった。
『昼間からあんなに騒いでたのに?』
…丁度その瞬間始まった。県警の大作戦!
目の前を一気に多数の警察車両がふさいだ。
『シャット!?いや、ここでは閉じ込められない。』
先頭集団が左手を高々と挙げたと同時に、大群の単車は左の道に曲がったもう一つのルートへ繋がる道だ。
『何がしたかったんだろ?』
それはまだ単なる始まりにすぎなかった。
第2のルートへ抜けた。これを右に曲がれば目的地に向かえる。しかしまた現われた。右に曲がった先にはまたもや多数の警察車両がビッシリと道をふさいで居る。Uターンしかなかった。
『一旦バラけて後でまた集合な!』
一度引き返す事になった。今思えばそれも県警の想定内だったのだろう。後ろから追跡を始めた警察をどのグループが引張って行くか?どの順番でバラけていくか?そんな事を話しながら走っていた時、とうとう本格的に始まりだした。
『暴走族一掃大作戦』が…。
まずはバイパスと立体交差する地点に差掛かった時、頭上に複数の青服の姿が見えた。次の瞬間防犯用の蛍光塗料入りボールを投付けてきた。さらに無数のフラッシュが光った。それを躱そうと左右に逃惑う者には歩道から強烈な水が襲いかかった。テロ鎮圧用の放水車が配置されていた。
しょうがなく青服の下を通過するとその先には…。
…次章に続く。
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