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「んで最後に【幻美人】」
「…それで今度はどんなオチなんですか?」
ここまで全て肩透かしされた慶は半ば、飽き気味に話を聞いていた
「それが…これだけ解決してないんだよね」
政宗は二杯目のコーヒーを注いでいる
【幻美人】
それは政宗が生徒会長になったばかりの頃の出来事だった
ある日、生徒会室で書類の整理をしていると、人が入ってくるのがわかった
政宗が顔をあげると、そこには、着物を来た女性が立っていた
うつ向きがちだったため、その時は顔は良く見えなかったが、美しかったことだけは覚えているという
何か用かと政宗が聞くと、女性は部活設立依頼の書類を黙って差し出した
部活名には『伝統芸能部』と書かれている
政宗は書類に目を通し、問題がないか確かめた
代表者名の欄に名前が書いてなかったので、名前を書くように政宗は言った
女性は政宗から渡されたペンを手にもつ
【小山 敦子】と、とても綺麗な字でそこに書いた
そして女性は、何も言わずに、生徒会室を去っていった
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