497人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで、どこが不思議なんですか?」
またも肩透かしを食らったような表情で慶は政宗を見る
「それがさ、いないんだよ。小山 敦子さん」
慶は飲もうと手にしていたカップをテーブルに置いた
「設立許可の連絡をしようと思ったんだけど、連絡先が書いてなくて…。生徒名簿を調べても、そんな名前ないし」
「うわ…部長、この世のものではない何かと…」
「まさか。あれはれっきとした人間だったよ。ちゃんとその時の書類もあるよ。…確か、部室に持ってきたような…」
政宗は席を離れ、部室をあさりはじめた
「あったあった。…はいこれ」
慶は差し出された書類を手にとる
そこには確かに【小山 敦子】と書かれていた
「この人が幻美人と呼ばれる人ってわけですね?」
「そっ。着物で目立っていたから他に何人か目撃者もいたよ。「綺麗だったな女性」以外、なんにも情報はないけどね」
慶はしばらく黙って書類を眺めていた
「部長、どうせやることないなら、【幻美人】、調べましょうよ!」
「そうだね。依頼か何か来るまでの暇潰しにはなるかな」
「それじゃ、早速玲さん達にも…」
慶が席を立とうとすると、政宗がそれを止めた
「二人が正常になってからにしよう」
「…はぁぁ……。もう耐えられませんわ…」
政宗の視線の先で、とうとう沙羅が倒れてしまった
最初のコメントを投稿しよう!