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15年後 捷は1人ビルの屋上のフェンスにもたれかかりタバコを吸っていた。 ふと見上げた夜空は厚い雲がネオンを反射し、色とりどりの灰色に染められている。 この街は曇り空の方が満月の夜よりも明るい。 左耳にはめている通信機から発信音が鳴った。 「目標がそちらに移動中です~」 妙に明るい声が聞こえてきた。 いつものことだがいつ聞いてもこの状況では違和感を感じる声だ。 「了解」 捷は携帯灰皿にタバコをギュッとおしこみ大きく息を吸った。 目を閉じ息を静かに吐きながら自分の中にあるスイッチを入れる。 眉間にしわをよせ開いた瞳は楕円に収縮していた。 トッ あきらかに気配を消そうとした着地音が貯水タンクの上から聞こえた。 黒の帽子に黒いコートを着た中年の男は、すでにこちらの存在に気づいているようだ。 顔をこちらに向けることなくしゃべり出した。 「なんだ思ったより早いな。 まさかこんな人気のない屋上で偶然にも同じ超能力者に出会うとはな。 それも同じ裏側の人間とは」 黒い男はぐりっと首を動かし、目をみひらきながらニヤリとわらった。
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