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プロローグ
こんなことが現実であるはずがない
それが記憶のはじまりでした
何をすればいいのか、どんな感情を出せばいいのかもわからない
さっきまでつないでいた右手を下ろすこともできない
指先の温もりが徐々に消えていくことだけは感じとることができました
どこからか泣き声が聞こえたような気がして視界が戻ってきたように思える
煙の向こうに1人両手で目をこすりながら泣いている子が見える
涙で真っ赤になっている目があった瞬間、その子以外の背景は真っ黒にしずんでいきました
そうか…あの子も両親を亡くしたんだ
心の底からこの言葉がにじみ出てきました
"も"?
そうだ…自分もあの子と同じなんだ
だったら同じように泣いたほうがいないのかな?
でも悲しい感情をだしていいのかもよくわからない
ただあの子の泣き顔はとてもつらそうにみえる
自分までも崩れてしまいそうだ
たぶんこの瞬間から捨てようと決めたんだと思う
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