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2010年 初夏
「ねぇ、おばぁちゃん。
この人、誰?」
昊花(そら)は、祖母の洋服の整理をしていてタンスの引き出しの奥から1枚の写真を見つけた。
「まぁまぁ、どこから見つけて来たの…どの写真?」
昊花の祖母、夏花は微笑んだ。
「これ……誰?」
差し出された写真を見た夏花は一瞬、ためらうような顔をした。
「おばあちゃん?」
「あっ…ごめんごめん。この人は…昊花、あんたの、ひいおばあちゃんだよ」
祖母の言葉に最初は頷く昊花だったが、何かが変…と、すぐに感じた。
そう、写真の女の人は、歳は昊花と変わりないくらいで昊花と同じ高校の制服を着ている…
そして写っている写真はカラー写真…
曾祖母の時代にカラー写真があったというのか?
昊花は疑問を祖母にぶつけた。
「ねぇ、おかしくない?
あたしのひいばあちゃんの時代に、こんなカラー写真があったの?しかも何であたしが行ってる高校の制服を着てるの?昔の時代にこの制服はないはずだよ?」
夏花は孫の話を黙って聞いていた。
そして…驚く事を口にしたのだ。
「この人は、如月星花(きさらぎ せら)という名前なんだよ。不思議に思うかもしれないけど、間違いなく昊花のひいおばあちゃんなんだ」
「でもっ、おかしいよ!どう見たって今の時代にいるような高校生じゃん!この人がひいおばあちゃん??おばあちゃん、ボケるにはまだ早いでしょ」
「まぁまぁ、聞きなさい。昊花。今から話してあげるから」
そう言うと夏花は、写真を見つめた。
「母さん…」
小さい声で呟くと、一筋の涙を流した…。
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