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『本当にもう会えないのか?』
「何十年かしたら会えるかも、でもこれが最後の別れになるかもしれないわ。」
『悠!』
父さんは俺ごと母さんを抱き締めていた。
「鋭志くん、後のことは頼みます。この子を幟麒を守って。」
そう俺を父さんに渡すと母さんはもう泣いていなかった。
『悠…俺はお前と一緒になれて幸せだったよ…絶対また会うぞ…』
「ありがとう…最後までごめんなさい。」
『もういいから後のことは何も心配するな。あいつによろしくな』
「はい。じゃあ行ってきます。さようなら。」
そう言うと母さんの姿は霧のように消えていた。
『ま…ま。まま!!うわ~ん』
あたりにこだまする俺の泣き声。これが母さんの最後の記憶だった…。
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