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「ああ……」
私は今、中庭までぶっ通しで走りつづけため中庭のベンチでぐったりしてます。
「あのー、大丈夫ですか??」
ベンチの手すりにつかまってうなだれていると、鈴を転がしたようなかわいい声が聞こえた。
「えっ?」
見ると、大きな茶色の瞳に、漆黒の肩ぐらいまでの髪を二つくくりにしている守ってあげたいような女の子が、ぬれたハンカチを私に向かって差し出していた。
「使ってください。お疲れのようですし。別に先輩にやさしくするのは、いいですよね?」
私は「ありがと……」と呟きハンカチをもらった後に、ビックリした。
『先輩』……?
「なっ、何年?」
私は女の子に聞いた。
「高1ですっ!!」
かわいく答えてくれる。
「同い年だよ、私たち」
「ええっ! そうなんですか? すみません、背が高いので高2かと……」
女の子は申し訳なさそうに答える。
「いいよ、全然。名前は?」
「渡辺……渡辺唯香っていいます。1年B組です」
「私は広瀬咲。1年D組! これからよろしくねっ!」
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