学園の王子

10/14
前へ
/176ページ
次へ
 耳元で一番聞きたくない声。  私の思考回路はむなしく断たれた。               「へぇ、咲は耳が弱いんだぁ」                誰にも聞こえない位の小さな声で、けれど私には耳元のためしっかり聞こえた。               「キィャァァァァァァァア!!」                はい、お約束の反応。                そんなにいいかねぇ? コイツ。               「俺のほんとの事言ったら犯すよ?」                なおも耳元で呟く黒川。               「いっ……」               「えっ?」               「いい加減にしやがれぇ!!!!」                私、キレちゃいました。                パコーーーン!!!                威勢のいい音が鳴り響いた。                私が、アイツの頬を拳の裏で叩いた音が。               「呼び捨てすんな!! この『二重人格猫被り野郎』!!」                私はそう叫ぶと教室を出て行った。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5214人が本棚に入れています
本棚に追加