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「キャァァァァァァア!!!」
鼓膜が破れるかというくらいの叫び声。
「黒川さまぁ!!!!」
「かっこいいー!!!」
廊下では様々なお褒めの言葉。
あぁ、まただ。
入学式から十日ほどたった今日(何回か遅刻しかけた)まで、いや、恐らくこれからも毎日続くであろう恒例の『黒川様ファンクラブ』による朝のお出迎え。
えーっ、まず多分みんなは『黒川様って誰?』だと思う。
黒川様とは、隣のクラスの黒川聖のこと。
黒川聖は文字通り『学園のアイドル』ってやつ。
さっきも話したけど『黒川様ファンクラブ』なんてものまで存在するほど。
入学式初日にアイドル並みの笑顔を振りまいて全校生徒の約半分(女子)を虜にしてしまった。
残念ながらそういうものに全く興味がない私と、彼氏とラブラブで彼氏以外は興味ない親友の美湖以外のクラス女子は『黒川様LOVE』状態。
そして、男子は黒川聖を妬む……ことさえままならないらしい。なぜなら、男から見てもカッコいいから(黒川の唯一の救いはこの学園にホモセクシャルがいなかったことね)。
はい、『黒川様』の説明終わり! ちなみに私と美湖は皮肉をこめて『黒川様』とよぶ。
てなわけで『黒川様ファンクラブ』の皆さん、プラス私と美湖以外の女子は黒川様を見て朝から心臓に悪い雄叫びをあげている。
「キャァァァァァァア!!!」
黄色い声援が一層高まる。
さすがにうるさいと思った私は近くにいた友達の亜紀に聞いた。
「なにがあったの??」
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