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「黒川様が自分のクラスに入らずに直でこのクラスに近付いてきたの……「ギャァァァァァァア」
亜紀の説明が全て終わる前にうちのクラスの女子が叫ぶ。
「はい、通してねー」
黒川様を一目見ようとドアにたかっていた女子の間を、周りの女子より一個分高い身長を器用に使ってくぐってゆく。
女子も、邪魔しないよう道を開けた。
ただ私だけ女子たちが開けた道のど真ん中に突っ立っていた。
「広瀬……咲さんだよね?」
私の前でめちゃくちゃ気持ち悪い笑み(『黒川様ファンクラブ』によると天使の微笑み)で私の名前を呼ぶ。
「なんっすか……?」
私は気持ち悪い笑顔を軽く睨みながら適当に答えた。
と、突然教科書が私の真横を風を切って後ろの壁に激突した。
私&美湖&クラスの男子唖然。
ただ、教科書を投げたと思われる女子と、黒川様ファンの女子はいたって平然。
「なっ、何すんのぉ?! もうすぐで当たるとこだったじゃん!」
私は投げた女子に聞いた。
あんまり見ない顔からして黒川様を追っかけてやってきた違うクラスの人だろう。
ツインテールで毛先だけくるん、と巻いている。
「黒川様に変な言葉遣いで話しかけないで!」
「てかなに黒川様と気軽に話してんの」
はぁぁぁ!!?
アイツから話しかけてきたんでしょ!?
すると黒川様は私に悪態をついた女子の肩に手を置いて言った。
「やめてください……僕から話しかけたんです」
私はこの時、なにか違和感があった。
「ここは人が多すぎる……外に出ましょう」
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