学園の王子

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 予想通り、『二重人格猫被り野郎』、皆様大好き『黒川様』が壁によりかかっていらっしゃる。                さぁ、皆の衆!!  黒川大魔王にかかれぇ!!                にっこり。  魔王必殺技『天使の微笑み』で二十人中十人くらいの女子を倒す。                続いて歩く度に揺れる髪と、細身な長身の身体を鼻歌に合わせて小刻みに揺らす姿で残った十名中、五名が倒れる。                後は『天使の微笑み』を極限まで優しく、爽やかにして三名を倒す。残り二名は私と美湖。               「沢田さん、中原が呼んでたよ」                沢田とは美湖の名字。中原とは美湖の彼氏。               「はぁい」                美湖は元気よく返事して教室を出る。               「男子の皆さんは、どこか行くとこないんですか?」                お次は『悪魔の笑顔』! 男子に向かって口だけ笑って目は一切笑ってなく、目で『オラ、早く何か理由つけてどっか行けよ』オーラ全開。               「トイレぇ」               「彼女なにしてっかな」                とかなんとか言って二十人の男子はあっけなく倒された。               『ピンチ!!!勇者・咲は総勢三九名の騎士を魔王に倒された!』                頭の中でサイレンが鳴る。                額を汗が通る。               「ここじゃ何だし、どこかへ行こうか?」               『ここじゃ何だし』の『何』って何ですか?!               「アハハハ~」                私は笑いながらドアへ行く。                                                                       『勇者・咲は逃げた』                スーパーダッシュ!                左横で生活指導の先生が叫んでる。 右横では『廊下は走らず歩きましょう』という貼り紙が私が走ってつくった風で剥がれ落ちた。
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