第一章『始まりの都』

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赤い絨毯が階段まで連なっている。 几帳面な人がいるのだろうか、綺麗にまっすぐ敷かれている。 シャアの歩くスピードが早いのか、アムロが遅いのか、アムロは、少し遅れるように歩いていた。 それが、嫌で足並みを揃えた。 「見ろ、こいつらの持つ武器は本物だ」 シャアはアムロを見ずに喋った。 「しかし、悪意はない」 二人の会話は長くは続かなかった。 無論、先程まで憎み合い殺し合った仲だからだ。 階段に昇り、王様の待つ部屋に上がる。 「こうも、オープンだと罠に思えるな」 「貴様みたいに大衆思想を巻き込んでか?」 「ふん」 「これ、そちらの者。 ここは、王座の間なるぞ」 槍を持った兵士が威嚇の為に二人に突き出した。 「これ、やめんか。」 アムロは、王様の顔を見て驚愕した。 かつて、連邦を率いたレビル将軍の顔に似ていたからだ。 「レビル将軍?」 シャアがアムロの口を手で塞ぐ。 さらに突き出された槍。 「こちらは、アリアハン国王レビル王なるぞ。 それを将軍とは何事だ?」 「やめんか!」 兵士はようやく、槍を納めた。 「目を見ればわかる。 この者達は、悪い者ではない。」 「すいません」 くいっとレビル王が、二人を指で呼ぶ。 「済まなかった。 私は、レビル王。この城の王だ。 何か用があるのかね」 「私達は、世界情勢が知りたくて王様に会いに来たのです。」 「ふむ。 世界を知らぬとは妙な。 よかろう。 今、世界はある魔王によって窮地に立たされている」 「魔王?」 アムロは頭の中のピースを当て嵌め始めた。 「日本の酒の名前か?」 「違うだろ。」 と、アムロはシャアに言ってやりたがったが、口は塞がれたままだった。
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