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一方信長軍
「殿、義元軍は桶狭間にて陣を張りましたぞ。」藤吉郎は密かに信長の洞察力に感動していた。
しかし全軍鎧の上に雨合羽を着て、しかも黒い布をまとっている。動きにくくてしょうがない。
「この天気の良いのに何故こんな格好せにゃならんのじゃ。動きにくくてしょうがない。」皆口々に不平を並べている。
信長を敬愛する藤吉郎でさえ不安であった。
暗闇の中、松明すら灯さず疾走する信長軍。
桶狭間を目の前にするやポツポツと雨が降りだした。
半刻もしない内に目の前が見えなくなるくらいのどしゃ降りになった。
先ほどまで口々に不平不満を並べていた者全てが驚きを隠せなかった。全軍一気に奮い立った。
「天は我々に味方した!このまま全軍突撃する!狙いは義元の首のみ!まっすぐ本陣に突き進めー!」信長が先陣をきって突入した。
万全の体制で突っ込んだ信長軍に対し寝込みを襲われた義元軍はなす術がなかった。
「義元の首討ち取ったり~!」瞬く間に義元全軍に伝わり総崩れになった。
「全軍退却!」信長が叫んだ。
翌朝、義元軍は逃げるかのように退却していった。
この噂は近隣諸国いや全国いや天上界にまで知れ渡った。
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