24068人が本棚に入れています
本棚に追加
/144ページ
火の玉
私の働いていた葬儀屋は、寝台車が2台ありました…
病院からの搬送依頼があったときは30分以内で行かなければならないので、必ず1台は会社に待機させてあります。
そのときは、2台目の出動だったので、同僚が寝台車で病院まで行き、私は乗用車で合流しました。
病院で遺体を寝台車に乗せ、自宅まで走りだしました…
私は乗用車でついていくと何やら不思議なものが…
寝台車の真上、約2メートルくらいの所に直径50㌢位の球状の光る物体が…
寝台車の走るスピードに合わせて、ゆらゆら飛行していました…
まさか火の玉…
それは私の思い描いていた物とは違い、火ではなく光で、心霊写真で写り込むオーヴみたいなものでした…
不思議と怖さは感じなく、その光は自宅に到着するとスーッと消えました…
もしかしたら、まだ肉体と魂が完全に離れてなかったのかもしれません…
昔は葬式のときに生き返ったなんて話が、ありましたが、現在は有り得ないでしょう…
それは、葬儀屋がドライアイス処置をするからです…
合計4㌔のドライアイスを胸と腹にのせて、腐敗防止の処置をすると、数時間で心臓周り、腹周りが凍ります…
とても生き返るとは思えません…
病理解剖も同じように生き返る可能性をゼロにします…
私はそれら行為に疑問をもった事もありました…
しかし現在は、それらが当たり前になっています…
私は、寂しい世の中、人間らしくない世の中に変わっていくような気がしてなりません…
もし、街中で寝台車を見かけたら、寝台車の真上を確認してみてください…
火の玉みたいな物体が見えるかもしれません…
そして、寝台車で運ばれている人は生き返るチャンスがあるのかもしれません…
最初のコメントを投稿しよう!