葬家

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葬家

私の担当した葬家さんで、芦野さんと言う、葬家さんがいました。 葬儀会場の準備も進み、祭壇に生花が並べられました。 花屋さんが、生花の名札を差し始めたらゲジが、ある事に気付き… 突然ゲジが… 『名札見て下さいよ』 『芦野家と脇野家が揃ってる…』 『アシノ毛とワキノ毛じゃ、きっと毛がボーボーだぁ…』 ゲジは、生花の名札に芦野家と脇野家を見つけて、興奮していました… ゲジ… 本当に失礼な奴です… 毛がボーボーって… 芦野さんと脇野さんが聞いたら怒られるぞ… 私は… 『ゲジ、お通夜と告別式で思いだして笑うなよ…』 『お前、失礼だぞ』 しかし、これでは終わらなかったのです… お通夜は無事に終わったのですが、私が告別式で弔電の奉読をしていると… 弔電差出人に日下さんがいたのです… アシノ毛、ワキノ毛、ヒゲ… まさに奇跡です… 私が日下さんの名前を読み上げると… 案の定ゲジは、今にも笑いだしそうな顔で私の方に振り向きました… そのあと、なんとか笑わずに告別式は無事に終了しましたが、ゲジはずっと小刻みに肩を震わせていました… ゲジ… 俺がもらい笑いするんだから、勘弁してくれよ… ゲジは本能だけで生きてる生き物だと再確認した出来事でした。 芦野さん、脇野さん、日下さん、もし この話を読んで気分を害したら、すみませんでした。 ゲジに、厳重注意した話なので勘弁してください…
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