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カーナビ
うちの葬儀屋の寝台車の一台にはカーナビが付いていました。
それは、出稼ぎや行楽で埼玉に来て 不幸にも亡くなった人を他府県の自宅まで搬送する場合にカーナビが必要だからです。
私が在籍していたとき、片道200キロ…
同僚が遺体を新潟まで搬送した時がありました…
そのときの話です…
病院からの搬送の依頼を受けて病院に到着すると、故人の親族が3人、業者が来るのを待っていました…
会社のスタッフ2人で遺体を車に乗せて、道案内の為、親族一名に同乗してもらい新潟県に向かいました。
高速道路をおりると、山道に入り 細かい道をチョコチョコと曲がって自宅に着いたのは23時くらいだったそうです…
故人を自宅に安置し、料金の精算をしてもらい、会社に戻る為、カーナビをセットして車に乗り込み発車しました。
同僚は、来た道は複雑すぎて、覚えておらず カーナビの指示通りに運転していました…
すると助手席の相方が…
『カーナビ通りに行くと高速の入口から離れて行くみたいだよ…』
同僚は『大丈夫だから…』と言いながら運転していました…
しかし、どんどん道は狭くなり、車一台がやっと通れるくらいのトンネルが目の前に…
そのトンネルは不気味で、どう考えても、この先に行ったらマズイ…
辺りは街頭もなく、ライトを消すと真っ暗な山の中…
しかたなく、カーナビではなく地図で確認しようと、車を止めて地図を見ていると…
コン、コン…
どこから来たのか中年のオジサンが車のガラスを叩き…
『こんな所で何してるの?道に迷ったの?』
同僚達は…
『高速の入口に行きたいのですが…』
オジサンは…
『高速の入口なら、このトンネルを抜けて行くと着くよ…』
しかし地図を見ると高速は、あきらかに反対の方向…
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