シミ

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シミ

この話は 私が担当した葬家さんが、納骨の法事ときに話してくれました… 寝たきりになって、5年くらいで亡くなった お婆さんの話です… お婆さんは寝たきりになって、1年くらいで痴呆が進み、誰もいない部屋で誰かと会話し始めたそうです… それは日に日にひどくなり… 家族が食事を持ってきても、天井を見つめて 訳の分からない事を喋っていたそうです… 家族は… 『人間は動けなくなると 痴呆が急速に進行するものなんだな…』 と話していたそうです。 自然界の動物は、動けなくなるとゆう事は死を意味します… 動けなくとも生きて人生を楽しめる… それは人間が地球上の生物の頂点に立っている為、人間に与えられた特権でもあります… 痴呆とは、人間が死を恐れなくするための防衛本能だと聞いた事があります… そんなお婆さんも息を引き取り、親戚が集まりました… お婆さんの遺体は一階の一番大きな部屋に安置され、お婆さんの寝ていた部屋には親戚が寝る事になりました… 翌朝、お婆さんの部屋で寝ていた親戚の人が… 『天井に人の顔の様なシミがあって、そのシミが動く…』 と言ってきました… 家族が確認してみると、確かに顔の様なシミがありました… 親戚の人はお婆さんの霊だと言っていたそうですが… もしかしたら、寝たきりのお婆さんは、生前 ずっと そのシミと話しをしていたのかもしれません… あなたの部屋の天井にも、顔の様なシミはありませんか… そのシミは夜中に動いていませんか… もしかしたら そのシミは、あなたが話しかけてくれるのを待っているのかもしれません…
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