おんぶ…

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遺体は体も大きく、体重もあったので階段をゆっくり降りていくと、ダランとした腕がだんだんと、しがみついてくる感覚になったそうです…… 階段を一段降りるたびに、遺体の腕が、ギュッと強くしがみついてくる気がしたそうです… だんだん強く…… しかし階段の途中で遺体をおろせる訳もなく、声にはださずに念仏を唱えながら一階まで降りてきたそうです… 一階の布団に寝かせ、打ち合わせを済ませ、会社に戻ってきて、その話をみんなにしているとき…… 私は気づいてしまいました…… 同僚の首に うっすらと浮かびあがった、赤い紐のような跡を… まるで首を吊ったときに、できるような赤い跡を…… 同僚は気持ち悪いと思いながら、遺体をおぶっていたはずです… たぶん その思いが彼に伝わったのでしょう…… 翌日には、その跡は消えていましたが…… 昔から死んだ人は仏さんと言われています… 『どんな極悪人でも死んだら仏』の言葉どおり、亡くなった人には敬意を表し接したほうがいいでしょう… 遺体は あなたの言葉を聞いているかもしれません… 遺体はあなたの思いを感じとっているかもしれません… 死んだら終わりではないのです……
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