焼死体

2/2

24069人が本棚に入れています
本棚に追加
/144ページ
その焼死体は火事で長時間焼けて、全身が炭化していたのですが、腹部に大きな穴が空いていたのです… なぜ穴が空いているのか、ずっと分からなかったのですが、私は腹の中のガスが火災で爆発したものかと想像していました… しかし…… 先日、私は消防士の古い友人と飲み会で再会しました。 その時に、消防活動の事や、葬儀屋時代の事を語り合いました。 やはり消防士も、生きている人がいる可能性のないほど炎上している部屋などは後回しにして生存の可能性のある方を優先するみたいです… 激しく燃えた部屋に人がいた場合は全身が炭化して男女の区別がつかなくなります… 私は焼死体で不思議に思っていた事を友人に聞いてみました… 腹に大きな穴があいてたり、細く黒くなった腕が折れて千切れてたりした遺体があった事です… 友人は『それはたぶん消防士が踏みつけて穴が空いたんだろう…俺も踏んだ事あるよ……』 『焼け跡に入ると、すぐ分かる… 人間の焼けた匂いは独特だから… 気をつけて歩いていても踏みつけてしまう事があるんだ…』 『あの感触は一生忘れられない… 気持ち悪いって気持ちより、ごめんなさいって気持ちのほうか強いよ…』 友人はそう語り、申し訳無さそうな顔をしていました… 私は『命がけで消火活動をしてくれた消防士を怨むような人はいないよ』と言うとニコッとしていましたが… 人は死んでからも、いろいろな職種、いろいろな人間と関わりながら墓に入っていくとゆう事を改めて知った1日でした… 今の時代、近所、親族などと関わらない自分1人で生きていくんだとゆう若者、独身者が増えていますが… 死んでからは、いろいろな人と関わるって事だけは覚えておいてください…
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24069人が本棚に入れています
本棚に追加