国立がんセンター

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国立がんセンター

国立がんセンター… その名の通り、そこは癌と闘う人達の為の病院です… 当然、患者本人に病名を秘密にする事などできず、告知された人が完治の望みを託し集まる病院… この話は、そこの看護師から聞いた話です… この病院の小児病棟に一人の少女、エッコ(仮名)が入院していました… まだ10歳の可愛い女の子です… エッコは進行の早いタイプのガンで、今までの放射線治療、薬物治療で髪の毛がすべて抜け落ちていました… しかし、いつもとても元気で誰にでも話し掛け、同じ病気と闘っている他の人達にとってはアイドル的な存在だったそうです… 大きな病院だったのですがエッコを知らない人はいないほどだったそうです… 入院患者は皆で、子供なのに頑張る少女だと感心して、エッコを見掛けると、『頑張れよ』と励ましていたそうです… しかし現実は医者から宣告された余命期間を、とうに過ぎていました… 親は奇跡を信じてエッコを励まし続けました… そんなエッコも身体の限界がきたのでしょうか、とうとうベットから起き上がれなくなりました… 日に日に弱っていくエッコ… しかし気力で病と闘い続けていました… やがて意識が朦朧となり、身内が病院に呼ばれました… うわ言でエッコは、 『エッコは頑張るよ…』 『エッコは頑張ってるよ…』 辛くなった母親は涙ながらに 『もうじゅうぶん頑張ったね…』 『ありがとうエッコ…』 そのままエッコは眠るように息を引き取りました… もしかしたら、エッコはみんなを悲しませたくないから頑張っていたのかもしれません… じゅうぶん頑張ったね…と言われるまで、頑張っていたのかもしれません… それ以来、病院では夜中に女の子の声で 『頑張ったでしょ…』 と言う声が聞かれるようになったそうです… 『頑張れ…』 人を励ます、良い言葉です… しかし、人によっては残酷な言葉なのかもしれません… 今夜もその病院では聞こえてくるのでしょう… 『頑張ったでしょ…』と…
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