火葬場

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火葬場

私の現在の仕事場の同僚は、若い頃 友人らと火葬場に 肝試しに行ったそうです… 夜中に千葉県の とある火葬場に… 火葬場の敷地に入った瞬間から異様な空気に変わったそうです… 建物の中には入れなかったのですが、その広大な敷地を探索していると… 『ううっ… うっ…』 うめき声のような、泣き声のような声が聞こえてきたそうです… 初めは遠くから… だんだん近くに… 友人達と… 『この声聞こえるか?』 『この声なんなんだ?』 全員で息を呑んでいると… ピシッ… 突然 友人の眼鏡にヒビが入り、レンズが割れて落ちました… 全員 慌てて逃げてきたそうです… 眼鏡にヒビが入った友人は その後しばらく、そのときの光景が夢にでてきたそうです… 火葬場… そこは人間が人の姿でいられる最後の場所です… 故人の想いや遺族の想いが一番強く残る場所かもしれません… 葬儀屋時代使っていた火葬場は、敷地内にブロックで建てた物置みたいな小屋がありました… その小屋には、身元不明の遺体、腐った遺体など、普通の亡くなりかたをしていない遺体が、火葬のときを待ちながら安置されていました… たぶん ほとんどの火葬場では、そんな小屋があるのだと思います… 同僚達は、そこに安置されてる人達の声を聞いたのかもしれません… 火葬場の片隅の小屋では、今夜も火葬を待っている遺体が安置されているのでしょう… 普通の亡くなりかたをしていない遺体が…
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