お地蔵さん

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お地蔵さん

この話は、私が中学生の時の話です。 私の友人は都営住宅に住んでいました。 その都営住宅には地元でも美人で有名だった3つ年上の女性も住んでいました。 都営住宅の目の前には電話ボックスが設置してあり、友人も その電話ボックスをちょくちょく利用していました。 当時は携帯電話も普及してなく、公衆電話が活躍していた時代です。 ある日の夜、友人が自宅でテレビを見てると… キキキー… ガシャーン… 友人はベランダから下の道路を見ると、電話ボックスに車が突っ込んでいました。 慌てて現場にいくと、電話ボックスは大破していて、車を運転していた男性は顔から血を流しながら車の下を見ていました。 そう… その時、電話ボックスで電話をしていた人がいたのです… その人は車の下敷きにされ、覗くと衣服だけは確認できたそうです… しばらくして、救急車と警察が来て 野次馬は排除され、運転手、下敷きにされた人は病院に搬送されました… 翌日 現場には花束が供えられ、友人は都営住宅の回覧板で同じ団地にいた美人の女性が事故に捲き込まれ、亡くなったのを知ったそうです。 それから電話ボックスは新しく建て直されましたが、女性の幽霊がでると噂され、その電話ボックスを利用する人は激減しました… 実際に女性の霊を目撃する者も たくさん出てきました… いつしか その電話ボックスは撤去され、跡地には お地蔵さんが設置されました… たぶん、女性の霊を供養する為だと思いますが… あの出来事から20年以上が経ち、事故を知らない人も増えてきていますが、お地蔵さんは 今も電話ボックスの跡地にひっそりと奉られています… あなたの身近に お地蔵さんは奉られていないですか… もしかしたら、お地蔵さんが奉られている場所は悲しい出来事が起きた場所かも知れません…
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