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照れながらもきちんと伝えた。
すると森羅は服の袖で目元を擦って、本当に……本当に嬉しそうに笑った。
初めて森羅の心に近づけた瞬間だと思う。
ヤバい思い出したら照れくさくなった。
「うむ、純也よ、2人で遊ぶぞ!ついてくるのだ!」
「ちょっ、ちょっと待てよ!森羅!引っ張るなぁ!」
こうして俺たちは初めて2人で遊んだ。
結局滑り台は6回しか乗れなかった。(子供の体力だからねぇ)
楽しい時間ってのはあっというまに過ぎていくものだ。
日は暮れて太陽もお休みの時間が近づく。
泥だらけでよれよれな服を着た俺と森羅は、ベンチに座って茜色に染まる空を見上げていた。
2人が話をしないのはなんとなく別れが近づいているのがわかっているからだろう。
ふと、気付くと遠くからスーツをビシって着込んだおじさんが歩いてきた。
近くで見るとがっちりした肉付きをしており、少し怖い威圧感があった。
間違ってもかかわり合いたくない。
「お~い、森羅!もう家に帰る時間だぞ」
「父上!」
「親父さんなの!?」
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