Prologue

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(あの…) 女性は不思議そうに一馬をみる 「なんでしょう?」 (閉園時間が過ぎてしまいましたが…) 「気になさらず」 一馬はりおと乗った時の事を思い出していた すると女性は言った (あなたもとても辛そうですね) その言葉で我にかえる 「辛そう?そうみえますか?」 (はい…とても) 一馬は女性をチラッと見て、また視線を窓の外に向けた (申し遅れました、私は木下 りさと言います) 一馬は興味なさそうに 答えた 「私は高杉 一馬です」 頬杖をつきながら感情のない瞳で外を見つめる (その、ブレス綺麗ですね) 一馬は言った 「あなたは彼を忘れられるの?」 (忘れはしません) 「前には進めそう?」 (はい) 「それはよかった」 そして二人を乗せた観覧車はおりてきた 「どうぞ」 一馬は手を差し延べ、りさをおろす 「では、出口まで送りましょう」 一馬は誰もいない園内をりさと歩く 「待たせたね」 [社長、もう照明を消しても?] 「ああ、いいよ」 「りささん、気をつけて」 そう言って迎えの車に乗り込んだ (ありがとう)といつまでも聞こえていた
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