兎の穴

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…………………誰? 私は一瞬の恐怖を感じながらも声の元へと足を運んだ。 ―――――――?! そこには一匹の猫がゲラゲラと抱腹していた。 不思議な色をした猫だ。 赤と黒の縞模様。体は肥大していて中型の犬くらいある。 「あれ…?」 思わず私は声が出た。 私は闇の中にいるのにどうして彼が見えるのだろう? そんなことをふと思ったら口に出てしまったのだ。 「やぁ。大分目が慣れたね。」 するとなんと猫が口を開いてそう言い放った。 猫が言葉を発したことには驚愕したが そうか私は闇に目が慣れたのか。 不思議な感じだと納得してしまった。 だって今思えば光が一滴もない世界でも 目が慣れると色を捉えられるとは変な話だ。 ただ目が慣れる。色を識別できようになる。 この世の前提は矛盾なのだろうか? 「難しい話は猫は苦手だ。 ただ君はようやく鍵を手にした。 さぁ闇の世界の更なる奥へ。」 ―――――――?! 猫は私の心を読めるのだろうか? そして私には彼の言ってる意味が分からなかった。 しかし彼はそれだけ告げると闇の先へと歩き出してしまった。
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