マリアと柩

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「それはこっちのセリフだが…。 まぁ特別に教えてやるよ!」 とジャンは言った。 改めて彼を見てみると少し可笑しかった。 針ネズミのくせに服を着ているのだ。 それがどこか愛いらしい。 「クスッ。」 「何が可笑しい!」 思わず笑ってしまった。 彼は真剣な顔で怒っている。 「ゴメン。あなたが可愛いらしかったからつい。」 するとジャンは少し照れた様子で返した。 「…まぁいいや。ところでアリスって笑えるんだな。」 「えっ!」 そういえば私は久しぶりに笑えた気がした。 裏に来てから笑える状況でなかったのはもちろんだけど 私は表の世界でも長いこと笑っていない。 いつも造り笑顔―――。 「このマリアには秘密があるんだ。」 「ん?!秘密って?」 「正確にはその柩になんだケドな。」
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