竜一の幸運

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彼女は目をつぶり、口をかみしめていた。 僕は暖かく包まれる快感に酔いしれていた。 やがて彼女の中いっぱいに包まれて、無言で彼女を抱きしめていた。 「だぃすき」 小さな声で繰り返す彼女が愛おしくて仕方なかった。 「痛い?」 「う…いたい」 涙がでている。 「止めようか?」 「…いい」 ぎゅっと抱きしめてくる。 「重いでしょ」 「うぅん、そんなことない」 そのまま離れたくなかった。 少し体起こして、額を、ほっぺを撫でていく。 真っ白な肌にキスをして、彼女を見る。 「だぃすき」 「うん」 かわいいと思った。 なにも考えられなかった。 いかなくてもよかった。 ずっと美津子とこうしていたかった。 制服の上をそのままゆっくり脱がせて、僕も裸になって、ずっと抱き合っていた。 二人で肌を確かめ合うように触れ合いながら…     やがてゆっくり体を離した。 「あたしじゃだめかな…」 「あ、違うよ、痛そうだったから、また今度ね」 頭を撫でながら抱き寄せた。 触れ合う肌の感触が心地良かった。 小さな胸がきれいだった。 「優しいね」 「僕でいいのかな…」 「竜一さんがいい、だぃすき」 僕は高校生を抱いてしまった。 彼女に幸せを与えられるのか少し不安に考えていた。 「ここまでしちゃうって思わなかったから…」 「ん?」 「恥ずかしい…」 だめだ、愛おしくてたまらない…。
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