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次の授業で隣の橘 亜希子からしつこく聞かれた。
「素子と付き合ってんの?」
「いや、違うよ」
「加奈子妬いてたよ」
「あら、」
「まあ、まだ付き合ってるわけじゃないか…」
「まだって…」
「加奈子本気だよ」
「僕の気持ちはどうなる?」
一瞬美津子が浮かぶ。
「加奈子かわいそ」
意地悪なやつだなぁ…
「素子さんとも付き合ってる訳じゃないよ」
「素子も彼氏と別れて一年くらいになるからなぁ」
意外な言葉だった。
「え?」
「あ、聞かなかったことにして」
「もう聞いた」
「あたしは言ってない」
「ずるいぞ」
意外だった、そうだよな、彼氏いない訳ないよな。
気になった、どんな男だろう。
僕より経験早いんだ。
美津子を思い出して自分を責めた。
もう、素子さんとは付き合ってはいけない。
「なに笑ってるの?」
「いやいや、なんでもない」
授業が終わってシンの新しい車を見に行くことになった。
駐車場に加奈子がいた。
加奈子はバツがわるそうにしていた。
僕が話しかけようとすると車に乗った。
寂しそうにうつむいていた。
「飯くいに行こうか」
「え?」
「三栄堂のオムライス」
「行きたい」
笑顔になった。
僕は助手席に乗った。
「素子さんいいの?」
「別に彼女じゃないから」
「じゃ、行こう」
二人で片道20分、楽しく話した。
耕次と美加子さんのことも彼女は知っていた。
「じゃあ、知らなかったのは僕だけ?」
「そうかもね」
クスクスと彼女は笑っていた。
オムライスを食べて、少しドライブした。
海の近くの公園で車止めて、なにげに散歩した。
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