竜一の幸運

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「おい、竜一!」 ドキッとした。 クラスメートの耕次が背中叩いてきた。 「おっ」 「竜は素子にお熱ですか、早く告っちまえよ」 ニヤニヤしながら寄ってくる。 「ば、ばかいうなぁ」 僕が赤面してるのがわかる。 恥ずかしい。 「ほら、大仏の授業始まるぞ」 耕次はクラスメートでもかなり仲がいい。 彼は身長も高いし、顔もいい。 よく女の子にも誘われてるのに、いつも僕とつるんでいる。 彼女はいるらしいのだが、まあ週末は消えるからその時あってはいるのだろう。 僕も耕次の彼女は知らない。 今日もくだらない話に夢中になって、いつの間にか学校を後にしていた。   僕ら二人はいつもバイクだった。 実家も同じ方向だし、よく峠にも行っていた。 ガレージで二人エンジンを暖めていると、素子さんが何気に近づいてきた。 僕はヘルメットをかぶり、ガンマにまたがった。 「いつもバイクなんだね」 僕はドキッとした。 「ははっ、じゃあな」 耕次は手を上げながら笑って行った。 「あ、うん、これしかないから…」 僕は何を言ってんだろう。 「今度乗っけてよ」 「今度ね。いつもバスだよね」 「うん、時間だから、また明日ね」  
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