竜一の幸運

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「みっちゃん最近スランプだったみたいだから、あんな顔久しぶりにみたなぁ、木戸くん、頼むよ」 なんか恥ずかしくなった。 「バイト行ってきます」 そそくさと立ち去ることにした。   僕はコンビニでバイトしている。 バイトは楽しくて、あっという間に時間が過ぎて行った。 帰り際、美加子さんがやってきた。 「あれ?家こっちだっけ?」 「ちょっと遊んでたから、今から帰るよ」 「耕次んとこ?」 「あ、バレてる?」 ちょっと引っ掛けてみたんだが、当たってしまった。 気まずいなぁ。 「加奈子よろしくね」 「わかんないよ」 美加子はスタイルも良くて綺麗な娘だ。 中庭や授業中もたまに一緒にいたから、うまく行けばいいって思ってはいたけど、そうか、良かった。 「木戸くん彼女いないんだよね」 「うん、いないけど…」 顔が赤くなる。 「加奈子嫌い?」 「まあ、ちょっと待ってよ」 「やっぱり素子がいいか」 「な?なんでそれ…」 「だって、いつも見てるから。加奈子それ気にして相談してきたんだよ」 僕ってわかりやすいのか?僕はばかだな。 「とにかく、よろしくね」 「傷つけちゃうよ」 「木戸くんだから大丈夫、じゃね!」 ちょっと面食らった。 耕次の事も美加子さんも、僕より全然大人じゃないか。 確かに彼女は欲しいし、セックスだってしたい。 でも、加奈子さん傷つけちゃいけないって思ってた。 …なんとなく。 じゃあ、素子さんはいいのか? …自分がわからなくなった。
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