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翌日は朝から加奈子に会った。
いつも通り話して、いつも通り騒いだ。
耕次にも相談した。
美加子さんとの事を恥ずかしがりながら、真面目に聞いてくれた。
「いまわからなくても、自然と気持ち決まってくるさ。しばらくごまかしとけ」
まあ、助かる言葉ではある…か。
加奈子さんには夕方会って話した。
「しばらくこのまま居たい。僕が好きになるのかわからないけど、今すぐは結論出せないから、」
僕の精一杯。
「素子さん?」
ドキッとする。
「…いや、それもないやろ」
精一杯笑う。
「わかった。」
右手の袖を握られた。そしてちょっと笑顔みせてくれた。
なぜだか幸せな気持ちになった。
数日は何事もなく、みんなで遊んでいた。
帰り道は3日に一度ほど高校生に会った。いつも通り数学を教えて、少しバカ話して。なんとなく過ぎて行った。
「土曜日御達岬行かないか?」
何気ない聡の一言でツーリングが決まった。
「そうだな、今ならまだ暖かいから、行こうぜ」
耕次が乗ってきた。
「じゃあ、タンデムって事で!」
「なに?」
聡の一言に私は凍りついた。
耕次はニヤついている。人事だと思ってるな。
大学でのバイク好き6人が集まってたまにツーリングや走行会に行っている。
メンバーは男5人、耕次、聡、力也、学、僕と女一人、環だ。
どうやら僕と学への挑戦らしい。
「学どうする?」
「友達連れていくよ、たまにはゆっくり行こうか」
これで孤立した。
「聡、変なこと言うなよ~」
「竜一最近もてるやん」
「んなこたねぇよ~参ったなぁ」
「たまにゃいいやろ、じゃあな」
無責任な…
大学正門近くでボケてると、
「誰か待ってるの?」
素子さん?
ガシャンっとひっくり返ってしまった。
うわぁ恥ずかしい。
ケラケラ笑う素子さん見ながらバイク起こして、笑ってしまった。
なぜか自分の緊張がなくなってしまった。
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