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「土曜日ツーリングの相手いなくてね、行かない?」
あ、自然に言えた。
「行っていい?」
「寒くない格好できて、メットとグラブはあるから」
「嬉しい、行く」
「ありがとう。じゃあ迎え行く」
「うん、絶対だよ」
あっさりと決まった。
なんだ、なに緊張してたんだ僕は…
すごい嬉しくなった。
帰り道はいつもより早く軽やかに走っていた。
下宿に着くと、美津子ちゃんが居た。
「あれ?どうした?」
「今日塾休みだから遊びに…きたの」
「お茶しかないよ、じゃあ、寄ってく?」
「うん」
少し浮かれていたので何気に誘ってしまった。
「散らかってるよ、完璧に」
「いいよ、」
この部屋に入る女の子は彼女が初めてだったな…って思いながら、つい制服のスカートをみてしまった。
「結構広いんだ」
雑誌とノートを片付けてしまうと、彼女はパイプベッドに腰掛けた。
「たまには早く帰んないとお母さん心配するんじゃ?」
「お母さんお仕事だから、帰っても暇なの」
「そうか」
「あれみせて」
「いいよ」
僕は予備のヘルメットと冬グラブを出して、掃除しながら話していた。
「どっか行くの?」
「ツーリング」
「いいな~いつか連れて行ってよ」
「今度ね」
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