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奇襲された気分だった。
その話題を、彼女から切り出すとは思わなかったのだ。
佐原梨子は、恐らくプライドが高い。
だから、2ヵ月前のあの出来事には触れてほしくないはずだ。
それなのに何故、今、この状況で言うのか?
睦月の頭が混乱した。
「う、うん。…まぁ、一応…。」
「そう…。良かった…。」
(良かった?何が?)
「…2ヵ月前って…、関所橋での事でしょ?」
「うん。…あの時はありがと…。心配かけてゴメンね。」
そう言うと、彼女は微笑んだ。
あの日、教室で見たときの笑顔が、そこにあった。
これで見るのは2回目なのに、もう一回見たい、そう思ってしまう。
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