🍸ブルーグラスの破片💥

『結局、終わりを選んだ』

　真っピンクのハート型、体にやさしそうな生地のベッドカバーに毛布。空気すらその色にしてしまうくらいに、全体的に女の子が好きそうな色に統一されている。
いつだって、ここはどこか嘘くさくて優しい空間。だから外にでたときに凍えるほどに寒いのだ。

　テレビを付けると私が怒るから、静かに有線が流れているだけ。小さなソファーに私と後藤一郎が、並んで座っている。

「ねえ、ウイそろそろいいでしょ。私たち、もうどっかにたどり着かなきゃいけないよ」

　グチグチ責めると絶対あとで後悔すると、数時間前から考えていた言葉。別にひとつの言葉を期待しているわけじゃない。本当は望んでいるかもしれないけど、彼を苦しめる人間を私は一番憎んでいる。だから、委ねる。

　組んだ足にへばりつく小さなラメがちりばめられたストッキングを指でなでながら心にキツく響くかもしれない言葉を覚悟する。初めて私のそれを彼が誉めたときから、普段は履かないのに履くようになった。

「ああ。そうだね。終わりにしようか、なんて僕がいきなり言っても君はあとでこっそり涙して友人にも自分が落ち着くまでは話さないんだろうね」