🍸ブルーグラスの破片💥

『幸せな時』

　食事が終わると、ゆっくりワインを飲んだ。ラブホテルで無理に呷る酒とは、どこか違った。理性的な彼は、アルコールをいれないと私に触れてこない。だから、ウイと私は会うたびにアルコールを摂取していた。それでも、顔を真っ赤にして意味のわからない言葉を口にするのを見たことがなかった。彼は飲んでも飲んでも顔にでなかった。少し饒舌になって、いやらしくなるくらいだった。
　彼は、おいでと手を動かすと私を近くに寄せ髪を撫でて、口づけをしてくる。私はだいぶ酔っていて、それだけでうっとりする。
「ポン、顔ほんのり赤くて可愛い。酔ったでしょ？」
「ううん、酔ってない」
　　私は強がる。
「ポンの浴衣セクシーだね」
　ウイが太ももあたりを少しめくる。
「ウイのえっち。ウイは酔ってるね」
　彼の髪は薄くて、おなかは中年太り。決して、顔かたち姿は格好がいいとは言えない。やっていることはセクハラおやじと変わらない。けれど、私は彼にだから、嬉しかった。