🍸ブルーグラスの破片💥

『結局、終わりを選んだ』

　いつも何が言いたいのかわかるようなわからない言葉で彼は言う。
ウイは買ってきたワインをあけて、ここにおいてあった、なんにもおしゃれじゃないグラスに注ぐ。
ウイが「ポンみたいに透明感があって少し寂しげな表情のグラスだよ」と言って、前私にくれた青いグラスがあった。それとは、比べ物にならないほど面白みのないグラス。薄い青に映える赤。コポコポ音がする。

「ってことは、終わりを選ぶってこと？」

　いつもの癖で自分の爪をさすりながら言う。力はいつもより強い。泣き声になるのが嫌で必要以上に強く言ってしまったことを悔やむ。ウイはワインのラベルを見ている。

「最初からわかっていたんだもんね。あなたの家にはよく働く奥さんとこれからどんどん成長していく子供たちがいる。本当にウイのあの場所がウイにとって優しい場所でなくても、変わらない過去があって、それに縛られる現在がある。私がどうしようとそれは変えられないから。あなたがそっちを選ぶとわかっていたわ」

　ウイは数センチ離れた左横にいるのに、遠く感じて寂しい。今まで過ごしてきた時間でもこの距離は埋められなかった。

「ポン、まだはっきり言ったわけじゃないよ」

「もういいの。わかってる」