Purplish Fruit

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「紫織ちゃん、緊張してる？かしこまらなくて大丈夫だからね。何か食べたいのある？」

イタリアンと言えばピザやパスタなんだろうけど、数種類の中からどう選んで良いものか、尋ねられたところで困ってしまう。

「澁澤さんにお任せして構いませんか？あ、ほら。お勧めのピザとか食べたいな」

「そっか。じゃあ紫織ちゃんの好きそうなものをチョイスさせてもらうよ」

澁澤は軽くメニューに目を通すと、ウェイターを呼び止めオーダーを告げた。

「アンティパストは蛯名のテリーヌと茄子のカポナータを。パスタはズワイ蟹のペスカトーレ、ピザはマルゲリータ‥これは取り分けにする。メインは子羊のポワレ。食後にエスプレッソのダブルと、ドルチェは女の子が好みそうなもので頼むよ」

唖然‥異国の言葉を聞いているよう気分になる。

アンティパスト、テリーヌ、カポナータ、ポワレ？

わたしにはさっぱり通じない単語の羅列でも、ウェイターはきちんと理解できたらしい。