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「へぇ‥なんだかいつもと雰囲気が違うね」 澁澤が微かに目を細めて言った。 「やっぱり変ですか?」 敏感な反応してしまうのは、似合っていないと自覚があったから。 とても褒め言葉と捕らえて良いのか分からず、真意をうかがうわたしに澁澤は微笑んで返す。 「いや、よく似合ってるよ」 後続車が途切れたたのを確認すると、澁澤はエスティマを発進させ、街の方面に向かって走り出す。 カーステレオから流れてくるBGMは、タイトルも誰が歌っているかさえ知らないものばかり。 だけど、どのメロディにも聴き覚えがあり、「70年代」や「80年代」と呼ばれている洋楽ポップスあたりじゃないかと思う。 「お腹空いたでしょ?もう少しで付くからね」 エスティマはきらびやかなネオンの群を通り過ぎ、傾斜の多い山麓の住宅街に差し掛かる。 澁澤とわたしはさして普段と変わりばえのない会話を続けながらドライブを楽しんでいた。 やがて緩やかなカーブをのぼっていくと、右側にイルミネーションで装飾された建物が見えてくる。 澁澤は右ウィンカーをあげて、店の前にある小さな駐車スペースに車を入れた。 「到着だ。ここだよ」
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