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香奈子は三月に…
香奈子[私達婚約するの、だから…これからは、頼都に近寄らないで邪魔よ]
と、言ったのだ…この今の状況では、三月は頼都を信じる事しか出来ないと思っていたが、婚約相手である香奈子に言われ、香奈子の言葉がやけにリアルに聞こえ、何を信じるべきなのか、何を思い考えるべきなのか解らなくなっていた…。
公園で、ただ泣き続ける三月の背を、誰かが軽く叩く。
三月は顔を上げると、見知らぬ男が立っていた…
?「大丈夫?怪我したのかな?」
男はしゃがみ、三月を立ち上がらせると、砂や泥をポケットから出したハンカチで軽く払いながら、優しい口調で問いかける
三月「…」
涙が止まらず泣き続ける三月だが、男の問いかけに首を左右に軽く振る
?「そ…なら、よかった」
男は他に何も問わず、微笑み言うと立ち上がり近くの水道の蛇口を捻り、ハンカチを洗い流しまた三月の元に戻ると、砂や泥が付いていた所を軽く拭いた
三月「…あ…りがと…」
泣き続ける中に、男の優しさに触れたからか、涙が止まり呼吸も収まった頃、ポツリと小声ではあったが礼を言った…
男は微笑みながらも、拭き続け拭き終わると
?「家は近く?遠いなら、夜も近い途中まで送ろう」
空を一度見ると、三月の顔の涙を指で軽く拭いながら、問いかけ…
泣く理由を聞かない男に、有り難みを感じながらも、また頭を左右に軽く振ると
三月「すぐそこだから…」
そう言うと、男の名も聞かず家に向かい走り出した
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