窓際の奇跡

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 いつも彼は7時に起きて、窓を開けて朝日を浴びて、飼い猫にご飯をあげる。  私のアパートの向かいにある家の、窓際での彼の朝の日課。 ――でも、最近彼の姿を見ることはなくなった。  もう、いなくなって3ヶ月くらい経ったのかもしれない。  引っ越したのかもしれないし、入院したかもしれないし、理由は全くわからなかった。  それもそのはずだ、彼と私の関係なんてよくて『近所の人』だ。挨拶を交わしたこともないし、まして彼が私の存在を知ってるかもわからない。いや、多分知らないだろう。  なんとなく気になったから、こうして毎朝彼を観察してたんだけど。  結局、なにか行動を起こす前に彼はいなくなってしまった。これじゃあ本当にただのストーカーだ。
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