6人が本棚に入れています
本棚に追加
音も無く、黒猫が人の姿に変わった。
だが、別段それで何をするでもない。
猫はまた、同じ様に音もなく黒猫の姿に戻ると、何があるわけでも無い闇に向かい、鋭い視線を投げかけては総毛だってみる。
やがて大人しくなり、退屈そうにあくびをする。
そしてまた人の姿になってみる。
「やめんか。鬱陶しい」
「痛でっ」
ジャランと鎖の動く音がして、その一部が猫の頭をはたいた。
「ナニするのさご主人~」
人の姿のまま、猫は自分の後ろに居る人物を涙目で見やる。
そこには黒服の女が座っていた。
背中に翼の生えたその女の両の手首には鎖がかけられ、長く伸びたそれは闇の奥まで続き、彼女の体を拘束していた。
最初のコメントを投稿しよう!