二ノ章[雨と黒と赤と…]

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 出発をして、ちょうど公園を通り過ぎようとした時だった。  ブロロロロ…  バイクのエンジンが止まった。   「ちっ、もう少しだってのに…」  原因は最近調子の悪いエンジンの所為だ。  俺は仕方なく、バイクから降りた。    ゴロゴロゴロ……    西の空が一瞬光る。その途端、強い豪雨が俺を襲った。 (今日はほんとついてねぇ… 神の狩りすぎで、天罰でもくらってるのか…?)  などと考えつつ、俺はバイクを引いて走ろうとした。    その時、公園の方で雷が轟音をたてて木に落ちた。  俺はたまらず耳を塞いで落ちた方をすぐに向いた。 (こんな近くで!)  雷の落ちた方を俺は急いで立ち上がって向いた。   (…誰だ…あれ?)  …黒こげになった公園の木の下に長身で黒いフード被った人が降りしきる雨の中傘もささずに佇んでいた。 (雷神…? いや、後光が見えない…)  通常、人神は後光と呼ばれる神具を使い、攻撃や飛行をしたりする。  それが見られないとなると、あの人は人間だ。  その時、木の下の人がこっちに向かって歩き出した。 (逃げるか…?)  俺が去ろうと後ろを向いた。 「…まて…」  男の声が雨の所為か、かすかに聞こえた。  俺はその声に脅えたのか、一歩も動けなくなった。 (神、か…!)  確信した。  声すら出なくなってしまった。
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