1129人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
ぴちゃ…ぴちゃ…
水の音をたてて、フードの男が歩いてくる。
俺の顔は緊張の色を隠せないでいた。
雨だか汗だかわからないほどの、水が顔から流れ出ていた。
そして、男は俺の目の前に立った。
近くで見ても大きい男。
身長は優に2メーターは超えている。
……俺は息を呑んだ。
「………」
雷が光るが、男の顔はちらりとも見えない。
しばらく、無言のまま俺を見下ろしていた男が突然、上着の中から、横に長く、布で巻かれたものを差し出してきた。
俺は受け取るつもりは毛頭なかった。
だが、受け取らなきゃいけない。
そんな気がしてしまった。
「…しばらく…預けた……」
…そう言って男は俺の目の前から消えてしまった。
雷が光るよりも早く、あっという間に消えてしまった。
「……ふぅ…
死なずにすんだか…」
自分でも驚くくらい息を荒くし、水溜まりの上にしりもちを付いてしまった。
(後光の見えない人神か…)
深く呼吸をすると、俺はじっくりと渡された布を眺めた。
(爆弾…なわけないか…
……神、直々に渡すものか…
しかも、神狩りに…)
…その場で布の一部を引きちぎってみることにした。
ビリ!ビリ、ビリ!ビリ!
一気に引きちぎるとそこには…
アコのような、寝顔をして寝ている子供…
赤子がくるまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!