二ノ章[雨と黒と赤と…]

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「赤子…? 神が捨てたのか? …いや、預かれって言ってたからそれはないか…」  よくわからなくなったが俺は赤子を両手で抱いた。  頬はリンゴのように少し赤みかかった色。  健康そうな寝顔であった。 「っと、急がなきゃな…」  両手に赤子を抱えて、急いで倒れたバイクに戻って起こすと、引いて走った。 (神とはいえ… まだ赤子だ…)  赤子が風邪を引かないように、俺は体を丸く曲げて、雨が当たらないように気を遣った。                      俺が一人で住んでいるマンションは少し新しめなマンションだ。  親の金と狩りの資金で生活をしている。  俺は急ぎ足でバイクを駐輪場に止めて、エレベーターで六階にまで上がった。 (肌が冷たい… 冷えすぎたか…)  赤子の頬を手の甲で軽く触れた。  顔が冷たく、あの赤い頬も今では見られなくなっていた。 (早く着け…)  俺はいつの間にかエレベーターの中で地団駄を踏んでいた。    ガチャ!    部屋の鍵を開けて急いで中に入った。 「タオル…!」  タンスからタオルを有るだけ引きずり出した。    子供のあやし方なんて知る余地もない。  ましてや、神の子供じゃ、ふつうの子供達とはまったく違うのかもしれない。    …だが、怖がる必要なんてなかった。  今、体を拭いて上げているのが、とても非力で誰かがいないと死んでしまうほど  まだまだ、小さな命だったからだ。
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