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「あんた荷物全然作ってないじゃない!」
家に帰ると早々、母親が目くじらを立てながらかけてきた。
「いいよ、殆ど捨てるつもりだし」
面倒でそう言うと、僕は逃げる速度で階段をかけ上がり、自室へと向かった。
「何言ってんのあんたはー!ちゃんとやってちょうだいよー?」
「はいはい」
扉を閉めながら、適当に返事をすると、僕は制服姿のままでベッドに倒れ込んだ。
まだ頭がぼんやりしていて、夢の中みたいだ。
溜め息を吐きながら、僕はぼんやりとついさっきまでのことを思い出しては、頭の芯からかぁっと熱くなるのを感じる。
先生が告白を聴いてくれた事実。そして、あの約束……。
僕は枕に顔を埋めた。
今更に恥ずかしくて、妙に擽ったい。
好きだと言われたわけじゃない。でも、優しくされて、ありがとうと言われて――やっぱり嬉しい。
ベッドから起き上がり、僕は机に向かうと、筆を取った。
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